小説

まやかしの希望は絶望よりも邪悪である ~「模倣犯」の感想から~

本作は架空の犯罪を扱っており、読者は神の視点によって物語の真実を知ることができます。しかしながら真実を知りえない登場人物(≒現実の私たち)は、犯罪に巻き込まれることによって苦悶し、その中から希望を見出そうとします。その希望すらもまやかしだった時、人はどうなってしまうのか―。大長編を読み切った感にあふれるナリタは、その琴線に触れた登場人物を比較して犯罪の理不尽さ、やりきれなさについて語り、タナカはなぜか上司のグチや社会批判に脱線しながらも善良な人々が救われない世の中を憂います。とにかく声を大きくして言いたい、犯罪、ダメ、ゼッタイ。

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