ナリタ

言語学を研究する大学教員。

ぼーっと過ごす幼少期には小説や映画などのエンタメにふれる機会が少なかった(ゲームばっかりしていたのかも)。

しかしそんなナリタの心に衝撃を与えたのが中1のときにみた松本白鸚(二代目;当時松本幸四郎)主演、三谷幸喜脚本の『王様のレストラン』だった。この作品が好きすぎて毎日帰宅してはビデオの録画を見返す日々を過ごし、少なく見積もっても各話100回ずつは見返して台詞回しも一時全て暗記するほど見ていた。

この経験からドラマの面白さにハマり、中学時代はフジテレビ系列のドラマはすべて見る時期を過ごす。

結果として『王様のレストラン』を超える作品はそうやすやすとは出てこないことを理解してその視聴習慣は終わるが、「俺もこんな作品を作ってみたい!」という思いを新たに、脚本家を目指すことを心に決めて文系に進学する。折しも入部した高校山岳部で読書好きのタナカと仲良くなり、タナカに本を借りて読む機会が増える。

文学・ことばの作品の作り方の研究を志して進学した大学では、学科の文学や哲学の授業にはピンとくるものがなく、教養の1つとして履修した他学科の言語学入門の授業に心を奪われる。

自分の文才を見限っていた時期と重なり、大学1年以降言語学(生成文法理論)にどっぷりハマり、人間の言語と思考の関係についての研究に邁進する。某米国大学院博士課程に留学進学して博士号取得。帰国のタイミングで会社員タナカとホンタナを開始する。

言語を分析対象として見る職業柄、自分の好き嫌いはある意味どうでもよく、読書も映画もその構造や仕掛け・仕組みにばかり興味を持ってしまう。

また、タイムマネージメントがまだまだ自分でうまく行っている実感がないため、研究の時間の確保を優先しようとするあまりに作品鑑賞という趣味の時間を「費用対効果」のような偏狭な指標で評価してしまう悪い癖がある。

また、その癖の結果として「無駄」が嫌いで、作品の中に現れる回収されていないかに見える伏線や意味がないと感じる描写やセットを憎む傾向があるが、「もしかして自分が頭が悪いから本来当然見つけられるべき意味を見いだせていないのか?」という疑念が去来して、堂々巡りで悩むことが多い。