2011.11.15 「小暮写眞館」宮部みゆき

久しぶりに女流作家の作品を紹介します。ユニークな花菱一家が移り住んだ「写眞館」。そこから広がる様々な出来事が、人間の強さと弱さ、優しくすること、傷つけることを丹念に描き、かつ丁寧に収束していく構成が見事な、著者ならではの力作。「物語のすべてが詰まった700ページの宝箱」といわれるのも納得です。フリートークがやや長めになって申し訳ありません。

関連書籍

併せてどうぞ!

「クライマーズ・ハイ」横山秀夫(小説)/原田眞人(映画)
日本航空123便墜落事故を追って奔走する地方記者たちの新聞魂を描いた名作。御巣鷹山で失われた多くの命、それをどうやって伝えればいいのか、伝える意味とは何なのか―。登山家たちとは違った視点から描かれる山での生死と、命≒情報を伝えるという宿命に真っ向から立ち向かう記者達の姿は、まさに生き様を見せつけられるものになっています。ヤマト、ローレライに続き、堤真一の演技にもご期待ください。

2011.11.8 人間の生き様を描く ~「神々の山嶺」の感想から~

久々のナリタ大絶賛!上下巻の長さを感じさせない展開、圧倒的な描写力、そして「人が生きること」を問いかけるメッセージ性、これぞ小説といえる作品に出会えたことを喜ぶ二人。自分にしかできないことに気づいてしまったらそれを表現せざるをえないという人間の性(さが)、伝説的な偉業に隠された不器用な人間味など、それぞれの視点からこの物語の奥深さに迫っていきます。

関連書籍

併せてどうぞ!

「雑誌 日本語学 2011年11月号」
われらのナリタさんが雑誌に掲載されました!
第三章、言葉を巡る「何」と「なぜ」-生成文法の視点から-というタイトルで、福井直樹先生との共著になります。言語に興味がある人、ナリタさんに興味がある人、よくわからない人、とにかくみんなで書店へGO!

2011.11.1 「神々の山嶺」夢枕獏

今回ご紹介するのは夢枕獏の長編山岳小説「神々の山嶺」です。20年来の構想を余すことなく描ききった意欲作です。この作品以前もこの作品以降も夢枕氏は山岳小説を手がけておりませんが、特に彼はこの作品をして「書き残したこと・書き足りないことはありません。書きたいことはすべて書きました。どうだ、まいったか」とまで言い放っています。そんな唯一無二の、エヴェレストに挑戦を続ける男たちを取り巻く壮大なサスペンス・ドラマをどうぞお楽しみ下さい。放送最後にちょっと告知もございます。

関連書籍

併せてどうぞ!

「エッセイスト」玉村豊男
優れたエッセイとは何か、エッセイストになるためには、といった真面目な話から、原稿料、取材と経費、ストーカー対策などの現実問題まで、著者の波乱万丈の人生とその内情を赤裸々につづったエッセイスト入門書。ナリタの師であるチョムスキー先生に影響を受けたことなんかも書いてあります。こんなところでつながってたりするんですね。

2011.10.25 選択肢としての田舎暮らし・都会暮らし 〜「軽井沢うまいもの暮らし」の感想から〜

玉村さんの軽井沢うまいもの暮らしに羨望の眼差しを向けると同時に一社会人として都会生活を送る自らの日々を振り返るタナカ・ナリタ。それは何も自家栽培・採取や保存食・調理のあり方などの食生活の豊かさに限ったことではなく、隣人とのつきあい方や(積極的/消極的)自由時間のあり方など、生活のいろいろな側面に田舎暮らし・都会暮らしのコントラストが波及しているのだなと気付かされます。秋の夜長に今の自分が送っているものとは違う場所での生活に思いを馳せてみるのもまた一興ではないでしょうか。

関連書籍

併せてどうぞ!

「全日本食えばわかる図鑑」椎名誠
あっつあつのゆでたてスパゲティにバター、マヨネーズ、しょーゆをわっせわっせとからめて即座に食べる、という「シーナスパゲティ」を考案した著者が放つ、うまいもまずいも食ったもの談義。味やレシピにとらわれない、食った者にしか分からない憧憬と悔恨にあふれた五十篇は一読、いや一食の価値あり!(しかしなんでまた最初に「青イソメ・ゴカイ丼」なんて特別料理を・・・)

「Step by step」森高千里
ニッポン放送の同名番組で放送された内容をまとめた一冊です。多くは語りますまい。

2011.10.18 「軽井沢うまいもの暮らし」玉村豊男

風は涼しく空は高く、すっかり秋めいてきた今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。装いも新たにお送りする今回は、食欲の秋にふさわしい「うまいもの」にまつわるエッセイを紹介します。都会育ちで食通の著者が軽井沢で出会った、新鮮でシンプルなおいしい生活。四季折々の自然がもたらす大いなる恵み、それと共に生きる人々との交流などなど、驚きと喜びに満ちた田舎暮らし一年目の出来事をまとめた一冊です。著者自身によるレシピも収録。あー、おなか減ってきた。では皆さんも、よい食欲を!

2011.10.11 第20回 SFをたっぷり語ろうスペシャル

2週間のお休みを巻き返す勢いの長大な回でお送りする20回記念企画は「SFをたっぷり語ろうスペシャル」です。映画「ローレライ」と「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の感想戦から始まり、タナカは「老ヴォールの惑星」の感想回(13回)から持ち越している宿題を表現する機会を伺いながら、そしてナリタはタナカのSF愛が堰を切って押し寄せてくるのをいまかいまかと待ちながら、話はいろいろな方向に進んでいきます。果たして2時間にも及ばんという長い議論の果てにタナカは彼のSF論を語り尽せたのか!どうぞお楽しみ下さい。

2011.9.20 第19回「ローレライ」樋口真嗣

映画原作の「終戦のローレライ」ではなく、あえて映画版の「ローレライ」を紹介したいと思います。第二次世界大戦末期、極秘に用意された潜水艦によって起死回生の大作戦に挑む人々を、斬新なアイデアを盛り込んで描いた意欲作。終戦を目前にそれぞれの思惑が交差しつつ、”大切なものを守ること”をつらぬく魅力的な人間描写は、一見の価値ありです。そして最近公開された映画版「SPACE BATTLESHIP ヤマト」との意外に多い共通点とは?最後までお楽しみください。

2011.9.13 第18回 ”自由”研究 ~「北極海へ」の感想から~

カヌーに近いあるモノを初体験し、なんとなく著者の目線が分かったような気がするタナカとナリタ。しかし、”俺は自由である”という感覚までもリアルに想像するのはなかなか難しい。「自由って、なんなんですかね」というナリタの素朴で深い問題提起を発端に、『鞄(安倍公房)』や『パタゴニア(椎名誠)』などを参考にして、自由であること、自由を追い求めることの重要性について、自由に語り合ってみました。

第17回 関連書籍

併せてどうぞ!

「旅へ -新・放浪記(1)-」野田知佑
日本中、そしてヨーロッパを放浪し、帰国してなお自由を求め続けた著者の、若き苦悩の時期を綴った自伝的エッセイ。いま自分は何をすべきか、悩み、傷つき、刹那的な達成感の後に訪れる深い虚無感にもだえ、それでも「楽な大人」にだけはなりたくない―。同じ悩みをもつ人々、孤独を癒す文学とギター、そしてカヌーとの出会いを経て、暗闇の中から少しずつ、少しずつ、自分が追い求める何かに近づいていく。著者の原点でもあり到達点でもある、「自由を追い求める」という旅へ踏み出した頃の不安と葛藤を描いた傑作。

 

2011.9.6 第17回 「北極海へ」野田知佑

今回は「発作的座談会」でゲスト出演していたカヌーイストの野田知佑氏の著作の中から一冊紹介したいと思います。国内外の川をカヌーで下ってきた野田氏は本作によってカナダ・アラスカの大河に魅せられていき、以後このアラスカ通いは著者のライフワークとなっていきます。蚊の大群、変わりばえのしない風景、熊の危険、無愛想な原住民・・・およそ日本の川のもつ繊細さとは全く異なる環境。それでも、この河に戻ってきたくなる、またこの河を漕ぎたくなる理由とは。現代人が忘れてしまった自由と、それを謳歌する強さなど、著者の半生もふまえて「自由を追い求めること」の奥深さに迫ります。

2011.8.30 第16回 緊急企画!ぼくの夏休み最終週スペシャル

八月も終わりということで、今回は誰もが経験したであろう「夏休みの宿題の嫌な思い出ワースト1(注1)」について取り上げたいと思います。スペシャル仕様にすべくタナカの秘蔵資料をなぜか本邦初公開!そして文集に初採用されたナリタの作品についてなどなど、ぼくらの学生時代における文章力とその情熱について、恥ずかしげもなくたっぷり語ってみました。

第15回 関連書籍

併せてどうぞ!

「キムラ弁護士の友情原論」木村晋介
四人の中ではご意見番として活躍するキムラ先生が、椎名氏らとの友情、女の友情、男と女の友情、はては猫との友情?!などなど、多彩な視点と交友関係から「友情」について熱く語る一冊。友人、恋人、家族との関わりを、あらためて考えさせてくれます。巻末の椎名・沢野・目黒による解説鼎談も見逃せません。





2011.8.23 第15回 得難き空気感と脱線力 ~「発作的座談会」の感想から~

迷走・珍走をくりひろげる座談会に鼻白むナリタ。こんなんでいいのか!冷静に考えればよくないはずの展開が、なぜかこの四人の中では許容されうる不思議。個性と友情の絶妙なバランスに支えられた「空気感と脱線力」がいかに得難いものか、高校時代の妙な思い出など踏まえながら考察していきます。

2011.8.16 第14回 「発作的座談会」 椎名誠 沢野ひとし 木村晋介 目黒考二

残暑お見舞い申し上げます。節電もあいまってひときわ夏の暑さを身近に感じるこの頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。タナカとナリタの対談形式をとっているこのホンタナですが、「かたくるしすぎる」という気がしてきたタナカ。より面白くスリリングな討論を求め、今回は参考書として椎名誠らによる「発作的座談会」を紹介します。ひとクセもふたクセもある男たち四人が「茶わん蒸しはおつゆかおかずか」「美しい昼寝とは何か」など、脱線もなんのその、結論すら放棄してひたすら語りつくすという、勢いまかせの討論がもつ魅力に迫ります。まだまだ暑い日が続きますが、くれぐれもご自愛ください。

第13回 関連書籍

併せてどうぞ!

「きみのためのバラ」池澤夏樹
世界各地で、わずかな時間を共にする人々。そこに宿る、ささやかで輝かしい時間を、透明な文体で丁寧にすくい上げた珠玉の短編集。人生の「ままならなさ」と向き合うこと、そしてその大切さを、異文化との接触を通して清々しい読後感とともに伝えてくれる名著。
ちなみに、「キップをなくしたら駅から出られない」という設定の、国語の教科書か塾の問題かで使われて妙に覚えていた話の作者が、この池澤さんでした(「キップをなくして」)。この機会に読み返してみたいですね。どちらもSFとは関連がうすいです(笑)。


2011.8.9 第13回 眠れなくなるSFの話(個人的に) ~「老ヴォールの惑星」の感想から~

タナカ