2012.7.3 「秋の牢獄」恒川光太郎

今回はフィクションの怖い話を取り上げます。わたしたちがまだ小さかった頃、怖い場所や怖い人はけっこうありふれた存在でした。それが年をとりひとつひとつ知らない世界が減っていくにしたがい、はじめからそんなものは無かったかのように「怖さ」は日常に埋もれてしまいます。恒川氏の作品は、そんな懐かしくも恐ろしい世界観を端正な文体で切り取り、世の中、そして自分自身の不確かさを再認識させてくれます。それが妙に心地よいのが不思議なんですよね。現代の「怪談」とも言える短編集、お楽しみください。